きょうはわたしは徹夜明けで、昼頃帰宅しました。ゾウくんとママは、3日校の受験です。1日校の合格発表は午後3時から。例年30分ほど早く掲示されますので、受験が終わったゾウくんたちが食事をした後、乗り換え駅で待ち合わせすることにしました。
身体はグタグタに疲れています。いつもは1時過ぎに一度仮眠するのですが、きょうはそんなヒマはありません。乗り換え駅では同じように3日の受験を終えた親子が、地下鉄に吸い込まれていきます。こちらもかなり緊張します。ゾウくんたちと合流し、1日校へ。ちょっと裏道を通っていきますと、ほかの受験生親子には一人も会いません。しかし、学校近くの交差点は、狭い歩道にそれらしい親子がひしめき合っていました。さらに中学生用の進学塾が両側に並んで、パンフレットを渡しています。学校から出てくる親子は不合格だったのでしょうか。とても正視できません。
わたしはなぜか、かならず受かっている、と確信していました(これは単純に、ゾウくんやわたしの『運』を信じていたからです)が、それでももしダメだったら、ゾウくんになんといおうか、などとぼんやり考えていました。
校門をくぐったのが2時35分過ぎ。掲示は20分過ぎに始まったようです。いつもとちがって、ゾウくんは足早に先に立って歩きます。書類を受け取るため、合格した人たちの列ができているのを横目で見ながら、急いで中庭に入ります。白い掲示板が目に飛び込んできます。ゾウくんはかなり早い番号でしたので、奥の方に進まねばなりません。ゾウくんはどんどん前に行きます。わたしも彼の番号を探します。
その時、ママが「パパ!あったよ!あった」と叫びました。一瞬遅れて、わたしもゾウくんの番号を視線の先にとらえていました。
「パパ、ありがとう」
ママのことばがもう涙声になっています。ゾウくんもようやく自分の番号を目にして、踊るようにわたしたちの所に戻ってきました。
「よかったな!」
肩を抱いて、そういいますと、まぶたの奥に熱いものがこみ上げてきて、かなり狼狽しました。こんなところでいい年をした親父が涙を流していてはかっこわるい、とっさにそうおもってグッとこらえます。
その間にも、我々は掲示板の方にどんどん近づいていたようです。とつぜん、サピックスでお世話になった先生に声をかけられました。面接の担当でもあった先生です。ママはもう涙目です。合格をご報告すると、先生も目を赤くし、『サピア』に掲載する写真の撮影と、喜びの声を記入するようにいわれました。
ゾウくんは、真剣な表情で自分の名前を書き、メッセージを書き込んでいます。ようやく我に返って、わたしは携帯で写真をパチパチ撮り始めました。ママは二人のバアバに報告の電話をかけています。ポーズを取ったゾウくんが写真を撮られています。
なによりもまず忘れてはいけないことは、入学手続き用の書類を受け取ることです。ママが並んでいる間、ゾウくんは仲間の受験番号を確認しに再び掲示板に向かいます。土特・SSの仲間は2人を抜かして全員合格です。さらに同じ学校の友達も合格していました。
仲間が次々に現れるので、ゾウくんはそのたびに一緒に喜んでいます。みんなで写真を撮ってもらったり、おしゃべりしたり、興奮状態が続いています。
合格者の数は367人。1人の合格者にたいして、1.7人の不合格者が出ている計算です。よく合格できた、とおもいます。それが実力とはいえ、うっかりミスで10数点損をしているのがわかっていたので、なおさらです。この時点では合格最低点はわからなかったのですが、あとで確認すると111点と、昨年とまるで同じ。合格者平均点が下がっているところを見ますと、もう最後の10点の所に、200人近くがひしめいていたのでしょう。
いつまでもゾウくんが喜んでいるので、わたしは一人で先に帰ることにしました。さすがに疲労はピークですが、神経は妙に興奮して、家に戻ってもなかなか眠れません。ゾウくんたちは小さい頃通った近くの幼稚園に報告に出かけ、さらにバアバの家にも寄って、夕方遅くに帰ってきました。
帰ると同時に、ゾウくんはゲームを取り出してプレーです。夕食の後は撮り貯めていた『天地人』のビデオを見て、ようやく就寝。ゾウくんにとって、長い長い一日がようやく終わりました。
なにしろ明日、大金を振り込み、入学手続きを完了しないと、合格したことになりません。ママに早く寝るようにいっても、いろいろな人から電話があったり、メールをしたり、同級生の状況を話し合ったりと、なかなか眠りません。いくら何でも遅れないとはおもいますが、ちょっと心配です。3日校の合格発表もあります。手続きが完了するまで、まだまだ気を緩めるわけにはいかないのでしょうね。